沈殿

沈殿というのは、固液分離をおこなう水処理の基本である。

 

固形粒子は重力の作用を受けて次第に沈降していく。しかし、自由落下を受けて次第に加速していくと、速度の自乗に比例する抵抗力が生まれる。このため、粒子に働く重力と抵抗力が等しくなったところから、一定速度で沈降していく。

 

沈殿地などの水面積負荷は、一種の流速であり、沈降速度が流速に届かない個別粒子は、洗流されやすくなる。

 

また、次第に濃縮されてくると、粒子同士が干渉し合うので、沈降計算の通りにはならない。干渉沈降。界面沈降。圧縮沈降など。

凝集沈殿

水中に含まれる粒子のうち大きな物は、通常の沈殿装置やろ過などで除去が可能である。しかし、それ以下になると次第に難しくなり、1ミクロン以下になってくると、沈降分離はほぼ不可能になる。

 

0.001〜1ミクロン程度の粒子はコロイド粒子と呼ばれる。このコロイド粒子に対して凝集沈殿を主に用いる。
コロイド粒子はブラウン運動をしている。また粒子表面にはマイナスの電荷があり、クーロンの電荷の法則で、お互いに反発しあっているので、分散状態を保ち続ける。

 

この電荷はゼータ(ジータ)電位と呼ばれる。通常のコロイド粒子は−20〜−30mXぐらいであるが、この粒子に反対の電位を持つ粒子やイオンを添加し、電位を中和することによって、±10mV程度以下にすると、お互いの引力(ロンドン−ファンデルワース力)によって凝集が起る。

 

このための薬品が凝集剤と呼ばれるものである。

 

一般的には凝集効果を高める為に組み合わせて使う。無機系の凝集剤で電気的な中和を行い、分子構造が大きな高分子凝集剤で、小さなフロックを絡めとり、大きなフロック、もしくはペレットに成長させる。

 

詳しくは、凝集処理を参照のこと。

浮上分離

水の密度より小さいものは、水上に浮上する。沈殿の逆になるが、水を沈殿させると言うことでもあり、重力を利用する面において、沈殿と同じである。密度の違いを利用した分離方法で浮上分離と言う。

 

加圧して浮上させる加圧浮上分離が広く用いられる。水を加圧して空気を水の中に強制溶解させてから、大気中に開放すると、溶解した空気は非常に小さな気泡として出て来る。その時、水と固形物の境界(不連続界面)に微細な泡が発生しやすい性質があるので、気泡と固形物は接着し、浮上して来る。

 

汚泥の浮上分離も行われるが、始めから水より密度の低い油などには広く使われる。
油の場合、水と油が混じりあい、エマルジョンを作っていることが多いので、予め酸で分解してから、薬品で凝集を行い、その後、加圧浮上を行うことが多い。
同じように大気下にあった水を減圧して浮上させる真空浮上もある。又、薬品を使う常圧浮上もある。

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