pHの管理
pHは通常は操作するものではありませんが、生物には最適なpH帯がありますし、処理の状態よってpHは変わっていきます。
通常の流入水であれば処理水のpHが上がる事はありえず、7近辺から6の間を示すようになります。
普通の処理をしている以上、処理水が7.2近辺を超えていくことは何らかの異常です。
重金属類も多くの場合、酸排水と共に入ってきますので、流入水の異常、不明水の流入を知る事も出来ます。
pHを観察する事によって、簡単に流入水や処理槽内の様々な状況を知る事が出来ます。pHは手軽であるため軽視する方も見えますが、非常に重要な指標でもあります。
pHの調整
工場排水などで、流入水のpHが極端に偏っている場合は、pH調整が必要になります。pH計と連動させた薬注ポンプなどを使います。酸は硫酸、塩酸などを使用し、アルカリは使いやすいさの点で、苛性ソーダを使用する場合が多いようです。
塩酸を使用する場合は保存にょって力価が低下しますので、貯留タンク内での長期保存は避けます。また、苛性ソーダを溶解して溶かす場合は、20〜25%程度の濃度に調整します。苛性ソーダの溶解液はこのあたりの濃度が最も凍結しにくいからです。市販の液体苛性ソーダは、流通するほとんどがこの濃度範囲です。
もちろんpH計はこまめに校正しておく必要があります。概ね1〜2ヶ月程度ごとでよいでしょう。
硝化のpH
曝気槽では硝化の進行に伴ってpHが低下して行きますので、pHを観測する事によって硝化の進み方が分かります。
また、脱窒により、pHは上昇しますので、pHによって脱窒の状況を知る事も出来ます。
亜硝酸菌や硝化菌の活動はpHの低下によって阻害されますので、硝化の進行によってpHは下がり、自家中毒のように自分自身によって硝化を阻害しますが、通常であれば、それほど気にする必要はありません。しかし、あまりに低下するようでしたら硝化を押さえるか、アルカリの投入をしなければ、解体などを起こす可能性があります。
なお、脱窒素菌の最適pH域はアルカリ側にあります。
硝化脱窒に関して詳しくは、脱窒処理管理を参考にしてください。
R-pH
原因不明で、pHが上がってしまうことがあります。また、現場で測定して、試験室で測定するとpHが上がってしまっていることがあります。
これは水に含まれている炭酸ガスが抜けたためです。
pHの試験法では、保存せずその場ですぐに測定することが規定されています。これは、こう言う現象が起こる可能があるためでもあります。
R-pHは、大気中と同じ程度の濃度の炭酸ガスが含んでいる場合のpHです。こちらの方が実際のpHとも言えますが、現在、炭酸ガスが含まれていて、そのpHであれば、それが正解のpHです。公定法もこの考えです。
変わりやすい試料であれば、試験室などに持ち運んだりせず、可搬式のpH計ですぐに測定します。10〜20分程度で0.5ぐらい変わる場合もありますので、注意します。