河の流れのように
水質管理は、ペットを可愛がるのに似ています。
曝気槽(反応槽)や沈殿池の様子を見て、今日の具合はどうかな、健康状態は悪くないかな。
いつも観察していて、水面のわずかな変化を見逃さないようにします。一番大切なものは五感です。
それが基本です。分析結果は後で見ればよいのです。
分析データーの数字しか見ない人もいます。それは暗雲が漂っているのに、雨量計が反応しないから、雨は降らないと言っているのと同じです。そういう人は、雨が降ってきてから慌てて傘を探します。それでは遅いのです。
そして、また、私たちは一定の環境の中に生きている生物を相手にしていると言うことを忘れてはいけません。機械ではないのです。
目先の事で、ころころとすぐに色々な設定をいじる人がいますが、大河の流れの行く末を見て、判断しなければなりません。
どこに向かっているのか、どこに向かおうとしているのか。
小さな支流にとらわれたり、足下のさざ波に一喜一憂していると、大極を見失います。
小さな世界
エアレーションタンクには、自然環境と同じく、様々な微生物が共生や食物連鎖の世界を作っています。
それは一定の環境に対する秩序の世界です。ですから、環境の変化があると、それに適応するために組成の変化が訪れます。
自然環境ですから、一定の秩序を取り戻すために、一定の時間が掛かります。
安定的な処理を行う為には、環境の変化は、出来るだけゆっくりとしたものである必要があります。
ですから、流入水もなるべく変動が少ない方が良いわけです。又、活性汚泥もその総量による秩序を保っていますので、変化を少なくし、一定にする必要があります。
汚泥引き抜きも、毎日、生成された余剰分を定期的に引き抜きを行うことが必要です。貯めておいて一度に引き抜く事は、処理に対するダメージを与えます。
環境の変化をなるべく少なくする事は、管理の面でも必要な事です。
内部の状況が同じ様な動きであれば、観測された数値で経験に基づく基準化された管理が行えます。
これは、私たちの世界がある程度の社会的な法則や経験則が通じるようなものです。このことは平和な世界であるとの証明でもあります。小さな世界も平和である必要があります。