活性汚泥法の適用範囲と処理限界

下水処理場

生物に取っての有害物の存在、あるいはpHが、極端に片寄っている排水の処理は、それを取り除くための前処理が必要になります。

 

微生物の有機物分解機能は、長い間を使って手にした酵素作用のために、人間が新たに作り出したある種の化学物質は、分解不可能か、実用処理時間内に分解できない場合があります。

 

また、実用時間内では、色度成分は分解できません。

 

排水に溶存している無機塩類は、除去できません。

 

微生物の細胞核、酵素の構成元素である窒素、燐、微量元素などの適切な栄養素がなければ、有機物を分解できません。

 

活性汚泥から発生した余剰汚泥は、発生量としては物理化学的処理より少ないのですが、一般的に圧縮性が高く、濃縮脱水処理がし難く、腐敗性もあって、汚泥処理がやや面倒です。

 

活性汚泥処理による生物反応は、化学反応に比べて遅いので、処理施設の設置面積が大きくなります。

 

活性汚泥処理法は異種微生物個体群の混合栄養の処理ですので、人為的に完全に制御することは不可能です。


活性汚泥処理法の必要条件

生物反応槽にかかる汚泥負荷が常に一定になるように操作します。

 

酸素の供給がBOD除去の律則因子にならない程度に曝気して、混合栄養液に一定以上の溶存酸素を与えます。

 

最終沈殿池で処理水と活性汚泥が完全に分離され、分離された後の活性汚泥は少なくとも生物反応槽の活性汚泥濃度より濃縮されていることが必要です。

 

濃縮された汚泥は反応槽の活性汚泥濃度を一定に維持する為に連続的に反応槽に返送する必要があります。
(排水中の有機物を分解する浄化微生物の増殖速度は、普通、生物反応槽で与えられる平均滞留時間より長い為、濃縮した活性汚泥を返送しない限り、浄化微生物は反応系内に留まることは出来ません)

栄養源バランス

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微生物が正常な有機物の代謝機能を発揮する為には、微量の無機性元素、及び窒素とリンが必要です。無機の必須元素は媒体に成る水中に存在している量で十分ですが、窒素とリンについては、不足している場合が多いようです。

 

この二つの元素は、微生物の生命の根源である細胞核と酵素の構成元素であり、これらの栄養源が連続的に供給されないと微生物の増殖はストップし、酵素の生成が阻害され、有機物の分解機能が停止します。

 

理想的な栄養バランスは、

 

BOD:N:P = 100:6:1

 

代謝機能を維持する必要最低限の栄養バランス、

 

BOD:N:P = 100:3:0.6


毒性物質

浄化微生物に対してごく低濃度で致命的な打撃を与える活性阻害剤は、主として重金属と言われる幾つかの重金属塩です。

 

確認事項として、毒性が顕在する金属、あるいはその他の毒性物質の絶対濃度、生物処理の前に除去する必要があるかの検討、馴養の可能性、及び許容できる濃度があります。

 

毒性物質を参考にしてください。

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