汚泥の性状
汚泥には様々な性状があります。汚泥性状によって、脱水がしにくい、しやすいと言うことがありますが、適応する凝集剤や脱水機の適切な選定をする必要があります。
大きく分けて、消化汚泥、余剰汚泥、上水汚泥、初沈汚泥(生汚泥)、混合汚泥などがありますが、同じ余剰汚泥でも処理場により、微妙な違いが様々です。季節変動によっても性状が変化する場合もあり、処理状態、保存状態によっても性状が変わる場合もあります。
ですから、処理施設立ち上げ時だけで無く、日々の管理においても性状の変化に注視する必要があります。汚泥の色、匂いなどを始め、濃度、pH、脱水性などを観察します。性状の変化は何らかの原因があり、汚泥脱水に密接に関わってきます。
ここでは、性状を管理する大まかな目安を提示します。
汚泥の管理項目
すべてを日常的に管理する必要はありません。折に触れ、参考にしてください。
pH・アルカリ度等
汚泥のpHが下がってきた場合は、腐敗している場合が多いようです。腐敗の場合、匂いや色などでも感知できますが、数値で捉えると管理がしやすくないます。
汚泥が腐敗すると、脱水性が悪くなります。繊維分が分解されてしまったり、生成される有機酸のため、汚泥に粘性が出たり、pHの低下そのものが凝集を邪魔したりします。
pHのみの観察でも良いのですが、腐敗して生成される有機酸はアルカリ度を消費します。
SS・TS
SS(浮遊固形物)濃度が高いほど、脱水性は良好になります。
TSもSSと同様に高い方が脱水性が良好になります。多くの場合は汚泥の溶解物は全体に対して少ないため、SSとほとんど同じです。どちらか一方を観測するだけで通常は十分です。
VTS
一般的には、VTSが低いほど、脱水性が良くなります。
粗粒分
粗粒分が多いほど、脱水性が良くなります。
粗粒分とは、汚泥を100メッシュのふるいでろ過して、水で洗浄して残った物質を蒸発乾固させた物を言います。
汚泥乾固形物の中に含まれる繊維や砂の割合です。%で表します。
繊維分
繊維分が多いほど、脱水性が良くなります。
粗粒分を測定した後で、600度で熱し、蒸発した物を繊維分と見なします。
電気伝導率
電気伝導率が高い場合は、凝集剤の注入率が高くなる可能性があります。
汚泥中にイオン、塩類が多いためですが、これは溶解性物資が多いとも言えます。かなり高い場合は、特殊な凝集剤をためして見る必要性があるかも知れません。