汚泥貯留槽の管理

監視室

汚泥貯留槽は、脱水機運転までに一時的に汚泥を受け入れて貯留する役割と、一定の期間に引き抜かれる汚泥を混合して、なるべく均一な汚泥にする役割があります。

 

これは脱水時の汚泥性状の変化を少なくするためです。
凝集沈殿汚泥の性状や有機性の生汚泥の性状や生物処理汚泥の性状は違いますし、発生汚泥の質も刻々と変化していますので、均一化しないと、最適な凝集剤添加率の変化が激しくなりすぎます。そこである一定量の汚泥を受入、撹拌して混合することにより、汚泥性状や濃度の激しい変化を抑えるクッションタンクになります。

 

汚泥貯留槽の撹拌用散気管、もしくは汚泥攪拌機は、汚泥を十分に混合するためと、汚泥の腐敗を防止するために流動させ、酸素を十分に供給するためにあります。汚泥が腐敗しますと、脱水が困難になることが知られています。これは汚泥内の微細な繊維分が分解されるためと、pHの低下によって凝集が困難になり、また腐敗による生成物によって粘度が増し、水分の抜けが悪くなるからです。

 

ですから、汚泥貯留槽の撹拌は汚泥脱水にとって重要な意味を持ちます。


汚泥貯留槽への汚泥引抜

処理設備からの汚泥引抜ですが、発生汚泥量に対して、それに見合う形で引き抜く必要があります。

 

凝集沈殿等の無機汚泥は、沈殿槽内を一定の界面以下に保つように引き抜きます。沈殿槽内に汚泥が大量に滞留しますと、汚泥越流を招き、正常な処理水が得られません。また、長く滞留した場合、腐敗を招くおそれもあります。しかし、汚泥濃縮増が無い場合は、ある程度の濃度を保てる界面は維持する必要があります。

 

生物処理汚泥の引抜は、生物処理を適正に管理するための引抜となります。処理状況に応じてMLSSを一定の範囲に保つために余剰汚泥として引き抜きます。

 

このように前段の処理工程の必要が優先されますので、後工程の汚泥処理のために引抜を管理できる範囲は非常に限られたものとなります。もちろん、なるべく濃度が濃く、均一な汚泥を引き抜く必要がありますので、できる限り小刻みな引抜をすることが大切です。引抜回数が少なく、一回の引抜時間が長いと、引抜の最後のあたりは濃度が下がるからです。

 

また、引き抜いた汚泥は貯留時間が長くなりすぎますと、腐敗する恐れもあるため、なるべく速やかな脱水が必要です。

高分子凝集剤溶解槽

液体やペースト状で販売されている高分子凝集剤もありますが、ほとんどが粉末状で市販されます。

 

従って、現場で必要に応じて溶解することになります。
高分子物質が水に溶けるということは、分子鎖がほどけ、溶液中に均一に分散するということです。ですから、溶解が難しい部類に入ります。一気に投入して溶解すると、継子玉が出来て正常な溶解が出来ません。

 

そこで様々な工夫をこらした溶解装置が使われます。基本的には水中に粉体を分散させて投入し、一定濃度に溶解します。撹拌は200〜400rpm程度で約1時間行います。

 

しかし、高分子凝集剤は吸湿性があり、吸湿すると粘着性の高い状態になりますので、日常的に溶解器の固着や閉塞に注意します。特に梅雨時の湿度が高い時期には気をつけます。溶解機構が吸湿した高分子凝集剤等で詰まると、薬剤の未投入や投入量低下が生じ、凝集剤溶解濃度が脱水に適切な濃度に保てず、正常な脱水が出来ません。

 

また、一度溶解した高分子凝集剤は、次第に抗力が下がってきますので、なるべく短時間に使い切る必要があります。種類によって違いますが、目安として2週間です。

薬注ポンプ

薬注ポンプの役割は一定量の凝集剤を添加することです。ダイヤフラムポンプなどの流量が正確に調整できるポンプが使われます。

 

高分子凝集剤の場合、粘性液タイプのダイアフラムポンプが使われ、ストローク数の変更で薬注量の変更が出来るようになっています。しかし、高分子凝集剤は特に粘性が高いので、配管の閉塞や吐出量不足などに特に注意します。

 

年に数回は、吐出量の測定の必要があります。ストローク回転数を一定に保ち、サンプリング口より、ビーカー等で受け、メスシリンダーで一定時間あたりの吐出量を測定し、異常がないかを調べます。

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