脱水での凝集剤の添加率

汚泥の脱水での凝集剤の添加率の調整は、凝集沈殿の方法と特に変わりません。凝集処理を参考にして下さい。

 

ジャーテストが基本に成りますが、脱水では、特に経験的に決める場合が多いようです。

 

凝集沈殿ではあくまで最適な状態をめざし、処理水を限りなく綺麗にしようとします。しかし、脱水では、回収率を高め、脱離液(濾液)をなるべく綺麗に保ち、脱水ケーキの含水率を低くすることも必要ですが、一般的には要は脱水が出来れば良いという要求水準の低さがあります。

 

脱水作業は、その日のノルマをこなさなければならない仕事ですので、なるべく手間をかけないで行うということも重要かも知れません。

 

もし脱水が満足に出来ない場合は、汚泥凝集反応槽内の汚泥を採取し、凝集剤を追加添加し、凝集状態の変化を観察して、追加すべきか、あるいは削減すべきかの参考にすることも簡便で有用ですが、ここでは簡単なビーカーテストを紹介します。

 

脱水がうまく出来ない場合は、闇雲に実機で調整するより、一度ビーカーで簡単なテストをした方が良い場合があります。

簡便なビーカーテスト

凝集沈殿では、ほとんどの場合、無機凝集剤とアニオン系高分子凝集剤が使われますが、汚泥の凝集では、カチオン高分子凝集剤一液で行う場合や、無機凝集剤とアニオン高分子を併用する場合、カチオン高分子と、アニオン高分子を併用する場合など、種々の組み合わせがあります。
ここではカチオン高分子凝集剤と、アニオン高分子凝集剤を併用する場合の例を挙げますが、実情に応じて読み替えてください。また、凝集沈殿での調整の参考にもしてください。

 

器具

・透明ビーカー(500mL程度)
・撹拌棒
・ピペット(駒込程度で可)、又はメスシリンダー

 

凝集テスト

汚泥をビーカーに300mL 〜500mL程度採取し、ガラス棒などで、よく撹拌します。十分撹拌して、汚泥に運動エネルギーを与えて下さい。
そして、撹拌しながら、カチオン高分子凝集剤を少しずつ添加します。

 

汚泥の凝集

 

あるところから、汚泥がざらつくような感じに成り、徐々に凝集が始まります。

汚泥の凝集

肉眼で観察して、良いと思われるところで添加を終了します。行き過ぎたと思われた場合は、始めからもう一度行います。
良ければ、凝集に要したカチオン高分子凝集剤の分量を記録し、次の行程に移ります。

 

次にフロックの成長を促すためにゆっくりと撹拌しながら、アニオン高分子凝集剤を少しずつ添加します。

汚泥の凝集

 

良く観測し、脱水に適する凝集状態になったら、完了します。凝集に要したアニオン高分子凝集剤の分量を記録します。

 

採取した汚泥量と使用した凝集剤から、必要な凝集剤の注入量を求めます。
収集処理の添加率の決め方の計算式を適用して下さい。

 

薬注ポンプ注入量とストローク

ストローク数に対する吐出量は、ポンプの性能曲線から導き出します。
無い場合は、ストロークを一定に合わせて、サンプリング配管から実際にサンプリングを行って計測します。何点かのストローク設定値に対する吐出量を実測して、予めグラフ化しておきます。ダイアフラムポンプですので、グラフ化は可能です。
汚泥ポンプの吐出量は流量計で見ますが、無い場合は同様に計測しておきます。

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