ジャーテスト

凝集テストには、ジャーテスターと言う機器が使用されることもあります。
500ml程度のビーカーを複数用い、ジャーテスターによって、撹拌条件や凝集剤の添加タイミングを同一にして凝集試験をします。その試験は、凝集剤の添加量や撹拌条件や添加タイミングの何通りもの組み合わせ条件を試しながら、何度も行われます。

 

実機で適用する凝集剤で行います。
一般的には、まず、プラスイオンを供給する無機凝集剤を添加し、急速に撹拌し、その後、アニオン高分子凝集剤を添加し、フロックの成長を促します。(凝集に最適なpHを維持するようにアルカリを調整をする事もあります。)そして、肉眼で確認し、場合によってはろ紙や布で濾して見て、最も良かった添加量を探ることにより行います。凝集沈殿の場合は、上澄み液や沈殿速度を主体に観測し、脱水に適応する場合は、汚泥の凝集具合に注視します。

 

実際の添加量の決め方は、始めに大雑把に何通りかの条件をテストし、最も良い添加量の近辺で、また何通りもの添加量のテストをします。それをくり返し、一番良いところや組み合わせを探ります。また、凝集沈殿ではオートジャーテスターというものが使われることもあります。

 

また、ジャーテスターの他に、シリンダーテスターと言うものもありますが、あまり使われません。共栓付シリンダーにサンプルと凝集剤を入れて、機械によって転置回転させて撹拌するものです。

 

テストによって原液のリットル当りの最適な添加量が確認できたら、計算して注入率を求め、実機に採用します。

最適添加率の適応

書類で考える

採取した試料量と使用した凝集剤量から、必要な凝集剤の注入量を求めます。

 

X=凝集剤注入量 (mL/min)
A=試験時試料量 (L)
B=試験時凝集剤添加量 (mL)
C=処理流量 (L/min)

 

X = (( 1÷A)×B)×C

 

脱水での計算例(数字は適当です)
・カチオン凝集剤、15mL(500mLサンプル時)
・アニオン高分子凝集剤、35mL(500mLサンプル時)
・汚泥処理流量、5L/minである場合

 

・(( 1÷0.5L)×15mL)×5 L/min = 150mL/min (カチオン凝集剤添加量)
・(( 1÷0.5L)×35mL)×5 L/min = 350mL/min (アニオン高分子凝集剤添加量)

 

この比率で、凝集剤薬注ポンプのストロークダイアルで流量調整をします。実機で脱水をして、必要であれば、凝集剤の注入比率の微調整をします。凝集沈殿でも同じです。


普遍的な方法

ジャーテストにはやや高価な機器も必要ですし、かなり煩雑です。また、苦労して最適な添加量がわかっても、数日後にはゼータ電位の大きな変化によって、またテストを行わなければならないこともあり、日常的に実行するにはそれなりの人員の配置や労力やそれに伴う経費の負担を覚悟する必要があります。ジャーテスターを所有している処理施設でも、現実にはあまり使用されていない場合がほとんどです。
一般的な水処理施設での日常の管理は熟練者の経験的な方法を加味して行われています。今までのその施設での経験上の傾向から、実機でのその日の脱水や凝集の具合を見ながら、凝集剤の添加量を変更します。つまり実機で条件を変えながら調整すると言う方法です。
このような方法のコツはまとめて、次ページで述べます。又、脱水の解説ページも参考にしてください。

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