無機凝集剤の特徴

硝化の説明

無機凝集剤は鉄系・アルミ系が多く用いられますが、最も多く使うのは、アルミ系です。
アルミ系の中でも、使用することが多いものは、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)とPAC(ポリ塩化アルミニウム)です。

 

PACの管理上の特徴は、添加量の決め方がある程度大雑把でよいと言うことです。もちろん、添加量が最適であるほど良い凝集が得られますし、適切な範囲でなければ、よい凝集はできません。他にもPACには優れた特徴が多く、日本で開発以来、日本では最も使われているものと思います。
通常は硫酸バンドより凝集効果が高く、アルカリの消費も少なく済みます。
硫酸バンドは、原水に対して添加量を最も適切に管理したとき、PACよりすばらしい凝集効果が得られます。

 

鉄系の凝集剤も多くの種類(ポリ鉄、塩化第二鉄など)があります。
鉄の赤い色や鉄錆が出易い欠点がありますが、鉄が人体に無害であることが長年の経験で確かであり、また、添加量が多すぎても、少なすぎても、赤い色が出やすく、添加量を眼で確かめやすいという特徴があります。

 

無機系の薬品は、基本的には水に溶けて加水分解し、粒子と反対のイオンになるものであれば、すべて凝集剤になります。ただし、安価で無ければならず、環境に対しての影響が少なく、毒物で無く、扱いやすい物で無ければ成らないので、ほとんどアルミ系、鉄系が使われます。

 

無機系の凝集剤は、フロックが小さく壊れやすいという特徴がありますので、通常は高分子凝集剤と組み合わせて使います。


有機系凝集剤の特徴

有機系の凝集剤のほとんどが、高分子凝集剤です。分子量が大きく、絡めとる力が大きいためです。天然高分子系と合成高分子系がありますが、使用されるのは、ほとんどが合成のものです。

 

高分子凝集剤(ポリマー)は、始めから凝集剤に使うために生産された有機化学製品で、自然に作られる有機物よりもかなり分子量の大きい化合物です。様々な種類があります。石油などが主原料になります。

 

無機系と比べると低い薬注率で著しく凝集し、イオン結合、そして、高分子ならではの細長い糸状物質で糊のように、浮遊物質や溶解物質を捕捉吸着します。無機系と比較すると凝集した塊(フロック)が大きく、沈降速度が速いという特徴があります。

 

高分子凝集剤の持っているイオン性(電荷の種類)によって、カチオン性(プラスイオン)、アニオン性(マイナスイオン)、ノニオン性(中性)があります。また、両性高分子凝集剤もあります。
カチオン系は脱水で多く使われ、アニオン系は、無機と組み合わせて広く凝集沈殿で使われ、ノニオン系は酸性排水でよく使われます。両性高分子は無機系と組み合わせて、難脱水性の汚泥でよく使われます。

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