一般的な凝集プロセス

分析

凝集剤には無機系や有機系など様々なものがありますが、先ずはマイナスのゼータ電位を打ち消すために、プラスの電荷を持っている物が使用されます。それが無機系の凝集剤やカチオン系の有機高分子凝集剤です。

 

通常は無機系の凝集剤が使われます。これは無機系の凝集剤の方が分子が小さく、懸濁物質に混ざりやすく、プラスの電位を満遍なく供給出来やすいからです。
マイナスの電荷を持っている粒子を無機系凝集剤で電位的に中和して、お互いの粒子の引力、ファンデルワース力によって小さなフロックを作ります。ここで凝集剤を過剰に投入し、マイナス電位の中和を通り越し、逆にプラス電荷が過剰な状態にして、プラス同士の反発状態にしないことが大切です。マイナスのゼータ電位を打ち消すことが出来る量だけ添加して、電位的に0に近づけることが必要になります。

 

次ににマイナスイオンのアニオン系高分子凝集剤が添加されます。その役目は、無機凝集剤で作ったフロック同士をお互いに結合させて、さらにフロックを大きくすることです。長い分子構造のアニオン系高分子凝集剤を投入して、架橋凝集を行い、大きなフロックを作ります。

 

カチオン系高分子凝集剤はプラスイオンですので、これのみで凝集をすることが合理的に思われるかも知れませんが、脱水以外で行う事は希です。満足なプラスイオンを供給するに足るリッチなカチオン系高分子凝集剤を添加すると、凝集した汚泥や水に粘性が出て、色々な支障が出るからです。
脱水でも、無機凝集剤とアニオン系高分子凝集剤が使われる事が多いようです。カチオン系凝集剤とアニオン系凝集剤が使われたりもしますが、脱水機の種類や汚泥性状や用途に寄ります。


凝集イメージ

無機凝集剤とアニオン高分子凝集剤の凝集イメージ。

※あくまでイメージ図です。

 

マイナス電荷を持った汚泥粒子は、お互いに静電力で反発し合っています。(電荷に関するクーロンの法則)

 

凝集プロセス

 

プラス電荷の無機系凝集剤を添加し、懸濁粒子のマイナス電荷を打ち消します。

 

凝集プロセス

 

電荷を中和して、粒子同士をファンデルワース結合させます。

 

凝集プロセス

 

作り出されたフロックに、マイナスイオンのアニオン高分子凝集剤を添加します。

 

凝集プロセス

 

高分子凝集剤の長い分子構造によってフロックを絡めて、大きく崩れにくいフロックが作られます。さらに一部の無機凝集剤のプラス電荷とアニオン高分子凝集剤のマイナス電荷が強い静電引力によってイオン結合します。

 

凝集プロセス

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