浮上汚泥の発生
沈殿地は観察する事により、色々な処理状況を私たちに教えてくれます。
沈殿地では汚泥が浮上していることがあります。これも様々な兆候を示しています。また、浮上した汚泥は越流して処理水を悪化させますので、放置は出来ません。
脱窒浮上
浮上した汚泥をビーカーなどに採取して、水を入れて強く撹拌してみます。沈降した場合は、pH測定をしてみます。
pHが曝気槽(反応槽)より高い場合は、脱窒の汚泥である可能性があります。通常は5センチから20センチ程度の浮上汚泥で、細かな窒素の気泡を含んでいます。
おそらくSV測定した後のシリンダーに衝撃を与えてみると、細かな気泡が浮き上がってくるのを観測出来るでしょう。
対処
考え方としては、脱窒を完了させること、もしくは脱窒を停止させることの二つを選択します。窒素除去が問題ではない場合は、脱窒を停止させる、脱窒を完了させることのどちらでもよいでしょう。窒素除去を推し進めなければならない場合は、脱窒を完了させることを優先します。
脱窒を停止させる場合は、曝気槽の送気量を絞り、硝化を防ぐ、沈殿地での汚泥の滞留を防ぐ、沈殿地でDOを残留させる(0.5以上)などが対策になります。
脱窒を完了させる場合は、処理を脱窒処理に適正化します。脱窒処理管理を参考にしてください。
過曝気
前記のビーカー試験で、汚泥が沈降する場合で、pHを測定して、曝気槽より低いときになります。
この条件で、浮上汚泥を観測して、沈殿地に一面に広がる浮上汚泥であれば、過曝気の浮上である可能性が強いです。
対処
基本的には送気風量を下げます。又は、散気方法を改善します。
腐敗
前記の条件であった場合の浮上汚泥の観測で30センチ以上で浮上している場合です。
こちらは腐敗汚泥の浮上の可能性が高くなります。黒い浮上汚泥です。外面は黒くなくても内部は黒いはずです。
対処
曝気槽のDOが低いはずですので、送気風量を上げます。DOを上昇させる事が出来ないようであれば、ブロワーの増設、散気装置の改善が必要です。又は水路曝気などで、曝気槽流入前にも曝気をして置きます。
曝気槽のDOなどに問題が無ければ、沈殿地の掻寄機に何らかの問題があるかも知れません。もしくは沈殿地での汚泥の大量堆積かも知れません。いずれにしても腐敗の原因を除去します。
放線菌
ビーカーに採取して水を加え、強く撹拌しても浮上のままの例です。
顕微鏡観測をして、放線菌がいれば、放線菌による浮上です。厚くて一面に広がる浮上汚泥です。
対処
発泡の放線菌の場合の対処を参考にして下さい。