泡が大量に発生している

対策

曝気槽や各種の反応槽で泡が大量に発生することがあります。泡の発生は種々の異常を示してくれます。また、泡そのものに問題が無くても、処理水などに泡が混入すれば、異常水の放流と思われ、時には通報されるという状況も招きますので、放置は出来ません。

 

泡の発生には、色々な原因があります。対策には理由を突き止める必要があります。

洗剤が原因ならば

泡が消泡水などのスプレー水で除去できるかを観察します。散水してみて、比較的に簡単に除去できる物であれば、通常は洗剤(界面活性剤)の泡です。白くて軽く飛散しやすい泡です。

 

家庭用の界面活性剤は現在では生物分解しやすいものが大半です。しかし、工業用の洗剤では今でも生物分解の出来ないものやしにくい物があります。その場合、汚泥に取り込むことでしか処理が出来ませんので、大量に流入してきた場合は、曝気槽などで発泡を起こします。家庭用の洗剤でも何らかの原因で大量に流入してきた場合は同じです。

対処

最も特効的な対策は消泡剤です。ただし、次工程に活性炭などがある場合、曝気槽がMBR(膜処理)などで運営されている場合は、アルコール系の消泡剤を使います。シリコーン系の消泡剤では膜などを閉塞させるおそれがあるからです。
その他、飛散防止に防泡ネットなどの設置。消泡水設備の設置。放流水などに問題があれば、消泡ネットを設置します。
MLSSを高め、汚泥に取り込ませるのも有効です。また、活性炭吸着塔などで界面活性剤は除去できます。
なお、界面活性剤が大量に入った場合は、凝集設備で凝集剤が余分に要ります。

消化汚泥の泡

消泡水などのスプレー水で除去出来ない場合は、ビーカーなどに泡を採取して、水を入れ、強く撹拌してみます。
撹拌して泡が消える場合は、消化汚泥の泡の可能性が強いです。通常は褐色のスカム状の泡です。
好気性の汚泥硝化槽で発生する泡と同じです。

対処

自己酸化の泡ですので、問題があれば、送気量、DOを下げたり、MLSSを下げたりして、処理を適正化します。

放線菌

強く撹拌しても消えない泡は、放線菌が疑わしいです。通常は褐色の粘性のある泡です。これが一番やっかいな発泡となります。放置すれば様々なトラブルを引き起こす可能性があります。

対処

放線菌は、絶対好気性ですので、送気量を減少させてDOを落とすことが必要になります。放線菌の泡は空気を取り込んでいますので、送気量を減少させるだけである程度の効果があります。
しかし、それだけでは放線菌を除去することは難しいので、汚泥を作り替える必要があるでしょう。幸い放線菌の増殖は遅いので、引き抜きを多めにして、汚泥を入れ替えます。
これらの対策は二次的なトラブルを引き起こす可能性もありますので、慎重に進めます。
MLSSを高め、処理効率を高め、放線菌の栄養を早めに除去することが副作用が少ない対策となります。いずれにしても長期戦になるものと思われます。


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