沈殿

水処理.水質

沈殿池の管理でもっとも大切な事は、均一な流入の確保と均一な汚泥引き抜きの確保です。汚泥界面の安定的な維持が大切です。

 

通常は汚泥を余り滞留させないようにしますが、もし脱窒などを沈殿池で行う場合は、ある程度の滞留が必要です。
ただし、滞留が多すぎると、汚泥の流失、脱窒汚泥の大量浮上、りんの上昇などの恐れがあります。

 

嫌気好気法などで、脱窒を考えると、DOは0近辺に持っていく必要があります。リターン水にリッチな酸素があると、反応槽嫌気部での嫌気を阻害します。

 

脱窒菌は、通性嫌気性細菌ですので、嫌気状態で硝酸呼吸をします。
O近辺にならない場合は、処理の状況を見ながら、曝気槽末端部のエアー吹込みを絞るか、曝気槽のDOを低下させます。

 

沈殿池でのりんの放出を招く事がありますので、状況に応じて管理します。

 

 

SVIは、BOD汚泥負荷が1.0kg/s・日付近で最も大きくなります。

 

個々の排水には様々な特性があり、このSVIに影響を与える因子としては、基質組成による浄化微生物の個体群動態、汚泥負荷あるいは栄養条件による浄化微生物の増殖速度があります。

 

処理水温の変化もSVIに大きな変化を与えます。

 

処理水温が高くなるほど、汚泥の沈降性が悪くなるピークは、汚泥負荷の高いほうに移動します。
当然に水温が低くなれば、汚泥負荷の低いほうに移動して来ます。
この変化の主な理由は、水温により生物活性が変わり、ある種の微生物の増殖速度が系内に留まれないようになるのが理由であると考えられます。

 

バルキング

 

バルキングの誘発因子と考えられるもの
  • BOD汚泥負荷
  • 排水の基質成分、組成
  • 溶存酸素濃度
  • 処理水温
  • 混合培養液のpH
  • N・Pを主体とする栄養バランス
  • 毒物の混入
  • 操作条件

 

 

バルキングの種類
  • ゾーグレアバルキング
  • 糸状性バルキング

 

 

対策

バルキングで沈殿池での汚泥界面が上昇して、処理に困難を来たした場合は、原因を探ります。

 

ゾーグレアバルキングであれば、運転管理上の問題点を洗い出して改善します。また、返送汚泥に塩素の添加(5r/l〜10r/l)をする場合もあります。

 

糸状性バルキングであれば、出来る限り、種の特定をします。
糸状性のバルキングである場合は、顕微鏡観察で視野の50%以上を占める場合が多く、それ以下である場合は糸状生物だけが主たる原因とは言い切れません。

 

また、菌体が汚泥フロックの内部に留まっている状態であれば、それほどの問題ではなく、フロックとフロックの間を菌体が結び出すと注意が必要です。

 

糸状生物が繁殖する理由には、増殖に適した環境がある場合と、他の微生物の生育条件が悪く、糸状生物が優先種になってしまった場合があります。

 

糸状性のバルキングには、糸状細菌によるものと、糸状菌(カビ)によるものがありますが、多くの場合、バルキングを引き起こすものは、糸状細菌です。

 

糸状細菌の殺菌には塩素を使う場合もあり、返送汚泥に対して有効塩素として(10r/l〜20r/l)程度を添加します。また、汚泥の作り直しが可能であれば、系外への汚泥の引き抜き量を増やします。

 

凝集剤の添加や粘土や砂分などの無機物を投入して、沈降性の改善を図る場合もあります。

 

問題になるようなバルキングを起こす原因細菌としては、Type 021Nが有名です。この場合は嫌気好気運転への移行が解決策になります。


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