硝化の原理

排水中のNH3-N、及びBOD酸化菌の異化代謝によって、有機性窒素から転換されるNH3-Nを硝化菌(亜硝酸細菌、硝酸細菌)により、NO2-Nもしくは、NO3-Nに酸化します。
亜硝酸菌と、硝酸菌は共に炭酸ガスを唯一の炭素源として細胞合成を行う独立栄養性細菌です。

 

亜硝酸菌の生物酸化反応

硝化工程

この反応の結果、混合液のpHは低下します。

 

この反応で生成された亜硝酸態窒素を、硝酸細菌が生物酸化させます。

 

硝化菌の生物酸化反応

硝化工程

この反応ではpHは低下しません。

 

上記の亜硝酸化型硝化と、硝酸型硝化のいずれの形式で硝化が行われるか、その支配する因子は完全には解明されていませんが、混合培養液のNH3濃度やNO2濃度が高いほど、混合培養液のpHや、水温が高いほど、酸素濃度が低いほど、亜硝酸型硝化になりやすいです。

 

亜硝酸型硝化と、硝酸型硝化のどちらが経済的であるかと言いますと、硝化行程に供給すべき酸素量、及び脱窒素行程に供給すべき水素供与体量共に、亜硝酸型硝化のほうが、硝酸型硝化に比べて少ないため、人為的に制御が可能であれば、亜硝酸型硝化が有利です。

硝化の条件

生物酸化処理工程で硝化が起こる必要条件は以下の3つです。

 

  • 混合培養液のpH、溶存酸素、水温などの硝化菌の増殖に必要な生理的環境条件が維持されていること。
  • 硝化菌に毒性のある物質が流入排水中に含まれていないこと。
  • 個体群動態から見て、硝化菌が反応系内に存在出来る条件が維持されていること。

 

亜硝酸菌とpH、及び水温との相関性

亜硝酸菌の最適pH域は、7.8〜8.8の範囲にあり、最大値の50%活性を示すpHは、酸性側で6.4、アルカリ性側で9.2です。これはNH4+ 濃度が比較的に低い場合で、NH4+ 濃度の増加に伴い、最適pH域は酸性側に移行します。
なお、硝酸菌の最適pH域は7〜8の範囲にあります。
硝化の進行によって大きく逸脱するようであれば、アルカリの供給を考える必要もあります。

 

処理水温は、亜硝酸菌の活性に大きく影響し、最適水温は35℃近辺にあり、15℃以下では、温度が低下するほど、急激な活性低下を示します。13℃程度が一応の硝化性能を維持できる目安になります。

 

亜硝酸菌の比増殖速度は、きわめて小さく、25℃程度の水温でも0.3日-1に過ぎないため、硝化工程からの汚泥排出速度が大きいと、亜硝酸菌の個体群が洗流されて硝化が停止します。
また、亜硝酸菌の増殖速度はきわめて小さいため、硝化行程に対するBOD負荷やSS負荷が大きくなりますと、亜硝酸菌の個体群を系内に維持出来なりますので注意を要します。

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