汚泥が沈降しない

対策

沈殿地で汚泥界面が上がってくる場合の対処です。汚泥の界面はたまに観測しておくと安心でしょう。
MLSS計があれば、沈殿地に下ろしていくと汚泥濃度が一気に高くなるところがあります。そこが汚泥界面です。センサーのコードにビニールテープなどで印を付けておくと、逆算して何メートルの所に界面があるか、すぐに分かります。
透明塩ビ管にチャッキ弁を付けて、沈殿池に入れて、引き上げ、観察する方法も以前は良く取られました。

汚泥の堆積

曝気槽のSVを測定して見ます。正常であれば汚泥の単純な堆積です。
SVが高い場合、曝気槽の水を処理水で二倍もしくは三倍と任意で希釈してSVを測定して見ます。SVIを計算(希釈したMLSS値で)してみて、正常の範囲であれば、汚泥の堆積、もしくはMLSSが高くて沈降しない状態です。

対処

汚泥を引き抜く、もしくは汚泥返送量を適正化します。掻寄機に異常が無いかどうかにも留意します。

処理条件の問題

SV、もしくはSVIが高い場合は、顕微鏡などで糸状菌の観察をします。
いつもと比べて糸状菌が多くない場合は、活性汚泥の処理条件の問題と思われます。いわゆるズーグレアバルキングです。
BOD・SS負荷が高い場合は、負荷の問題です。流入水のBOD・N・Pの比率が悪い場合は、栄養バランスの問題です。pHが偏っている場合は、pHの問題です。

対処

このサイトなどを参考にして、処理条件を整えて下さい。

糸状菌

顕微鏡観察をしてみて、糸状菌が多い場合は、糸状菌が主原因である可能性が高いでしょう。
汚泥のフロックの中に糸状菌が留まっている場合は、まだ軽症です。フロックとフロックを結び始めると危険で、酷くなると顕微鏡の視野全体を覆います。
糸状菌がいる場合は、分岐を調べてみます。分岐が無い場合は、隔壁を観測します。
隔壁が無い場合で、黒い点の硫黄粒子を持っていれば、ベギアトアなどの硫黄細菌です。明確に隔壁がある場合は、Type021Nである可能性があります。(Type021Nは様々な形態で出現します。)
分岐がある場合は、分岐を調べて、偽分岐である場合、Type021N・Type1701・Type1702・スフエロチルスなどの可能性があります。
いずれにしても顕微鏡観察だけで糸状菌を特定するのは難しいかも知れません。

対処

引き抜きを多くして、汚泥を作り直します。
返送汚泥や曝気槽に次亜塩素酸ナトリウムや過酸化水素などを投入して殺菌する方法もあります。次亜塩の場合の目安は、返送汚泥に対して有効塩素として(10r/l〜20r/l)程度、汚泥量を勘案すると、1kgのMLSS量に対して一日あたり、有効塩素量として数グラムです。始めは少なめにして活性汚泥の状況を観測しましょう。もしくは試験をしてみて下さい。(この説明で分からない方は、不用意に行わないで下さい)
個別対策としては、Type021Nの場合は、嫌気好気法への移行が対策になる場合もあります。硫黄細菌の場合は、どこかが嫌気に近い状況ですので、対処をします。しかし、糸状菌の種類は様々であり、生態も様々で、特定も難しい物ですので、個別対策は難しいと思われます。

放線菌

顕微鏡観察をして、真分岐である場合は、放線菌が疑わしいです。

対処

発泡の放線菌の場合を参考にしてください。


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