活性汚泥処理と微生物

顕微鏡観察

活性汚泥と言うのは、バクテリアなどの真正細菌や真菌類(酵母など)、原生動物、後生動物などから構成されている生物群集です。

 

浄化微生物に対して、適当に栄養バランスの取れた排水を反応槽に導入して、一定時間曝気すれば、種々の好気性微生物が、排水中の有機物を捕食して、増殖します。その間、通気、攪拌、混合により、微生物や有機質、無機質の浮遊粒子が凝集して、排水処理に有効な活性汚泥が出来ます。

 

この汚泥は、好気微生物を含むゼラチン状フロックで構成され、有機物の酸化力と凝集吸着力が強く、沈降分離性に優れています。

 

フロック形成
一般に希薄溶液中では、有機物や微生物は界面現象を通じて、気液界面あるいは、固液界面に集まり、濃縮される傾向にあり、有機性、無機性浮遊微粒子に衝突し、固着して活性フロックが形成されるといわれています。
活性汚泥中のゾーグレア細菌、カビ、酵母、原生動物によって分泌される粘着性ゼラチン様物質は、高度に微粒子、並びに可溶性有機物を吸着し、フロックの形成を助けます。活性汚泥中の有機物吸着力はきわめて強力であり、接触20分以内で、急激な吸着が起り、30から60分で平衡に達します。
フロック形成は特定の微生物によるものでなく、各種の共同作用と考えられています。

 

 

この様な過程によって生成された活性汚泥によって、排水中の有機物は吸着されて、汚泥中の浄化微生物によって酸化及び、同化され、最終的に排水の浄化が達成されます。

 

 

原生動物はその種類も多く、顕微鏡で簡単に観察することが出来、その出現度合は活性汚泥や処理水の状態を反映するので、指標になります。
その役割も浄化の仕上役であり、浄化の目安として利用できます。後生動物も同じような役割を果たしますが、出現する種類は多くありません。

 

原生動物はその特性からいくつかの「群」に分けられます。出現するのは「肉質虫類」「鞭毛虫類」「繊毛虫類」の3群。

 

肉質虫類は、アメーバ類とも呼ばれて、水中のバクテリアや粒子状有機物、時には他の小型の原生動物を食物とします。
また殻を持つものと持たないものがあります。殻を持つものは有殻アメーバー。

 

鞭毛虫類は、 1〜数本の鞭状の毛を持っているもので、溶けている有機物を食物とするものが多く、活性汚泥の状態が不十分の時に出現するものが多いです。

 

繊毛虫類は、体全体あるいは一部に短い毛(繊毛)や繊毛が変化した棘毛(きょくもう)、吸管と呼ばれるものがあります。
活性汚泥の浄化状態が安定し、処理水の性状が良い時に出現することが多いようです。活性汚泥の中には200種類ぐらい出現します。

 

活性汚泥中の食物連鎖

バクテリアや真菌類は下水中に溶けている有機物を分解して増殖し、原生動物や後生動物は、そのバクテリアや微細な粒子状の有機物を食べて増殖します。

 

  • 有機栄養物の分解、同化。従属栄養性細菌、液状死物栄養性の真菌類。
  • 一次捕食者(原生動物ー活性栄養性)
  • 二次捕食者(後生動物ーワムシ、円虫類)

 

 


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